【設計上の数値】 ※ⅾ
今インターネットやSNSで家造りを始める際も、いろんな情報が簡単に手に入る時代になりました。
そんな中、家造りに勉強熱心な方が「数値」にこだわるケースが増えてきているように感じるのですが、
これは非常に良い傾向だと思います。
だって自分の家ですからね、本気になって頂いた方がこちらも熱が入ります。
ただ、ここで気を付けないといけないことは、「設計上の数値が必ずしもリアルではない」ということです。
外皮平均熱貫流率いわゆるUA値(ユーエーチ)というものがあります。
現在、断熱性能を表す基準となっているのがこの数値です。
これは簡単に言うと、「壁を伝わって家の中の熱量がどれだけ外に逃げるかを表す数値」です。
断熱材の熱伝導率と断熱材の厚みで計算すると出てきます。
だから断熱材というと、みんなすぐ「熱伝導率」を気にします。
熱伝導率が低いものは、熱が伝わるのが遅いということ。だから断熱材のような熱を中に入れない、
外に出さないという場合は熱伝導率の低いものを選びます。
逆に熱伝導率が高いものはお鍋などの鉄製品。
だから住宅会社はこぞって熱伝導率の低い断熱材を選んで「うちは断熱材良いの使ってるから大丈夫!」と
言ったりするのですが、これがそもそも間違いで、どれだけ熱伝導率が低くて良い断熱材を使っていても
厚みが少なければ効果は高くありません。
あと断熱材の施工や家の構造に「隙間」があったら断熱材も意味を成しません。
熱は移動しやすいところを移動していきます。隙間がいっぱいあると、
そこから熱が移動していくので、断熱材は効果を発揮しません。
だから断熱には「気密性」も必要になってくるのです。
断熱性能を表すUA値は設計の想定の計算値ですが、気密は実測値です。
気密施工は技術力がものを言います。
また、現場で施工をするのは「人間」です。
だからこそ、施工する職人さん自体がしっかりした知識を持って施工しないことには
当然設計上でどれだけ優秀な数値をたたき出しても、実際に建てた家は隙間のせいで暑い、寒いというギャップが生じてしまうのです。
「うちは良い断熱材を使っているから大丈夫!」、と自信満々にそうに言って営業している住宅会社がいたら
もしかしたらその会社はあまり断熱のことを分かっていないかもしれません。
土永